ッゴォーーーーー!!!!!




急行電車がすぐ目の前を通過する。




しゃがんだ角度から見た電車はとにかく大きくて、速くて、重たそうで…怖い。



俺は由月の小さく震える肩を抱えた。



踏切が上がるとすぐ、立ち上がって少し離れたところへ連れて行く。


由月は大人しくされるがままにして俯いて尚、泣いてる。



たまたま握りしめてたタオルで由月の手首をギュッと押さえた。


「…ごめん、使ったタオルだけど……やんないよりいい?痛い…?」



「…」



由月がトン、と俺の胸に体を預けた。


震えてる。


服が涙で濡れていく感覚がする。



「純……どこにも行かないで……そばにいて……ッ。」


由月は嗚咽を漏らしながらか細い声で俺の胸に言う。


「わたし、純がいないと生きていけない…ッ」



「…」





俺は由月の細すぎる体をそっと抱きしめて、空を見上げた。





広い広い綺麗すぎる星空が、地上で泣いてる俺たちを何も言わずに見下ろしている。