風呂から出て体を拭いてると、スマホにメッセージ通知が来てることに気づいた。



ん?

…由月?




ボクサーパンツを履いて頭を拭きながらメッセージを見る。





「…!」






慌てて服を着て玄関に走る。





「純?どうしたのそんな血相変えて。」


母さんが皿を拭きながら呑気な声を出す。



「ちょっと、出てくる!」



「え!?あんたお風呂から出たばっかじゃない!」


母さんを無視して急いで靴を履きながら玄関のドアを開ける。




無駄に心地よい夜風を一身に受けながら、駅の方に走る。



走りながら着信履歴に残ってた『長谷川由月』の名前をタップして耳にあてた。





『♪♪♪』





出ろよ、由月…!





『♪♪♪』





出ろ、出ろ…!!





『♪♪………純…?』





…ひとまずホッとする。





「どこにいんの!?」





『……東口の……踏切のとこ。』




「!」




俺は地面を蹴るスピードを更に早める。




「ハァ、ハァ、…ッ動くなよ!絶対!!」




そう言って電話を切った。





「ハァ、ハァ、」



真っ暗な夜道を駆け抜ける。



この街の夜は、なんて暗くて静かなんだろう。