それから兄と唯に散々イジられ、純さんが限界を迎えたあたりで主治医の先生が様子を見にきた。



「じゃー俺らはそろそろ行きますかね。」

兄と唯が腰を上げた。


「うん、ありがとう」


私の顔を見て、唯が口角をあげた。


「…結婚式、楽しみにしてる。」



続いて兄が困ったと言わんばかりに悩む仕草をする。

「乾杯の挨拶、練習しなくっちゃなぁ」


「兄にだけは頼まない」

「え」

「兄にだけは頼まない」

「またまた〜」

「兄にだけは頼まない」

「美琴。ちゃんと3回分傷ついてるからな。」

「じゃあまたね」


私が無視して別れを告げると「絶対余興で寒いダンス踊ってやるからなぁー!!」と騒がしい兄を唯が引っ張っていく。


「…あ、俺ちょっと会社に電話しなくちゃだ。美琴ちゃん、すぐ戻るね。」

そう言って純さんも腰を上げた。

「分かりました」

軽く手をあげて純さんが病室を後にして、代わりに主治医の先生と看護師さんが中に入ってくる。