キヨマサ君は立ち上がると、背中を向けて「やっぱダメだったな~」とぼやいた。



「え?」



「柊さん、こっちの世界にえらく気に入られちゃってたからもう取り込んじゃおうと思ったんだけど。」



…こっちの、世界?




「向こうの世界に引っ張られまくってるよね。そろそろ何とかしないとまずいなぁ。」



「…あの…話が見えないんだけど…?」



キヨマサ君は私の言葉をまるで無視して続ける。



「柊さん、超イレギュラーだから無事に帰してあげられるかわかんないかも。まあでも柊さんは推しメンだから特別に頑張っちゃうけどね!」



そう言っていつものスマイルで私に言った。



「多少荒療治になるけど許してね!」



「…!?」






キヨマサ君の言葉を合図に、激しい頭痛に襲われる。



昨日と同じ、頭が割れるような激しい頭痛。



痛みに崩れ落ちる私をキヨマサ君が心配する様子もなく笑顔のまま見下ろしている。





私は子猫が温かい体で寄り添ってくれてるのを感じながら、激しい痛みに目を閉じた。