「…キヨマサ君?」










「やっほー、柊さん」








キヨマサ君が、隣で足を組んで座っている。





…なんで?


というか、いつのまに?


…全く気配がしなかった。



それに…






「…どうしたの、その恰好…?」




キヨマサ君はグレーのスーツを身にまとっている。

いつものニッコニコスマイルはなくて、唇はゆるくカーブを描いていても、目が笑ってない。



…なんだかいつものキヨマサ君じゃない。




スーツのせいか、ずいぶん大人びて見える。





「…」





…あれ?







マシンガントークが、



始まらない。







「ッシャー!!」

「!」


先ほどまでくつろいでいたはずの子猫が、キヨマサ君に向かって威嚇し始めた。



「おーおー。そんな怒りなさんな。悪かったって。」



キヨマサ君が少し近寄って子猫をチチチッと舌打ちであやすも、子猫はフーッ!と威嚇をやめない。



「…キヨマサ君……この子のこと、見えるの?」



キヨマサ君は返事をするかわりに私に微笑みをよこした。



あまりにもいつもと様子の違うキヨマサ君に、私の中の何かが危険信号を発して少し身構える。