「…柊さん」


「ん?」


「これ食べたら……観覧車のりませんか」

時山君が前方を見つめたまま言った。


「うん。いいよ」


私はソフトクリームの甘さを味わいながら答えた。


「…」


時山君が何か言いたげにこちらを見た。


「ん?」


「…なんでもない」


時山君は顔を少しそむけ、ソフトクリームのコーンにかじりついた。


子猫は時山君の足元であくびをしている。