「…大丈夫?」



私の前には、ベンチで真っ白になった時山君。


つむじがかわいい。



「……だいじょ……うっ、ごめん、ちょっと…」

立ち上がって口元に手を添えて、トイレを指さす時山君。


私はどーぞ、と手で合図して早足でトイレに向かう時山君の背中を見送る。


子猫は呑気に日向ぼっこを始めた。



…お水買ってあげよう。




私はすぐそこにある自販機に向かいながら先ほどの時山君を思い出した。






『うわぁぁぁあああ!!』

『ぎゃああああああああああ!!』

『死ぬ!死ぬ!死ぬーーー!!!!』








「……ふふっ。」


自販機の前でつい吹き出した。

時山君には悪いけど、他の人と乗るより何倍も楽しかったかも。

昔、唯と乗ったことあるけどすっごく静かだったもんなぁ。

また一緒に乗ってくれないかなぁ。


そう思いながら自販機のボタンを押した時だった。





「楽しそうだね~」



「!」




ガコンッ。





ペットボトルの水が受け取り口に落ちる。