そのまま時山君に連れられて、私たちは電車を乗り継いでいった。


会話しようにもできなくて、ただ無言で電車に揺られた。


時山君はさりげなく私をドア側の方にやって、自分が周りの人から盾になるようにしてくれる。


唯もよくやってくれてたけど、普通の高校生の男の子って本当はそんな気が利かないよね。

紳士だなぁ。


車内はまぁまぁ混んでいて、少し距離が近くなって…ちょっとドキドキする。



チラッと見上げると時山君のキレイな横顔。

時山君ってほんとは…モテる?


長谷川さんと…あのボブの女の子と…


ふと、昨日の時山くんの笑った顔を思い出して、ムッとしてしまう。

あのあとお友達とまた合流したのかな?

そういえばあの時、誰を待ってたんだろう。


……私?

私か。

そっか、私を待ってて、それで誘ってくれて…




「あのさ。」



時山君が横を向いたまま突然口を開いた。



「?」



「…あんま、見ないで」



「あ」


無意識にじっと見てしまっていた。

うわ。私、気持ち悪い。


「ご、ごめん…!」


慌てて俯くと、時山君も慌てる声が降ってくる。


「あ、いや…ごめん。全然いいんだけど…うん…うん。」