朝方目を覚ますと、森下の後ろ姿が目に入った。
そして、ちゃんと眠れていたたことに気がつく。
やっぱり、よく眠れる。

森下を起こさないように後ろから腕を回す。

なんでこんなに気持ちが安らぐのか。。。
その温もりに目を閉じると、また眠りに落ちていった。

遠くから聞こえるカチャカチャという物音と、コーヒーの匂いで目を覚ます。

あれ?2度寝してた?

「おはようございます」

森下の声に

「・・・おはよう」

反応はしたけど、頭がぽやっとしている。

「良く眠れましたか?」

優しい声。

「ああ、ぐっすりだった」

2度寝したし。

「良かったです」

笑顔だ・・・・はっ。俺昨日寝る前に森下泣かせたよな?
そこは大丈夫なのか?

心配になって聞いてみると、特に怒ってないようで。
しかも、次の日には基本忘れるとか。
そんな神業のようなことができるの?

だって大抵次の日に嫌みとか言うじゃん。
チクりチクりと。
まあ、ほぼ俺が悪いんだから仕方ないけど。

「まあ、そうだけど・・・でも、引きずるじゃん、おん・・・まあ、人によっては。」

ヤバイ、女をひとまとめに言うところだった。

「よほどのことがない限り、次の日には持ち越さないですよ。それが私のいいところだと、たけちゃんに言われたことがあります」

ピクリとその名前に反応する。

「・・野村・・・そっか」

俺はその後なにも言わずに洗面台へ向かった。
歯を磨きながら、野村に嫉妬。

嫉妬している自分に自己嫌悪。
がーっと顔を洗って、雑念を振り払う。

あと1日か、一緒にいられるの。

複雑な思いを胸に、リビングに戻って朝食を一緒に食べた。