ため息をひとつ落として、部屋に戻る。

毛布かけてあげないと肌寒いかもなー。

もー、完璧に酔いが醒めちゃったじゃんかー。

隣の部屋の押し入れに入っている毛布を取り出して、寝ている先輩にかけてあげる。

横向きで寝ていた先輩の顔を見て絶句。

「・・・嘘。郡司さん?」

寝ていた人は、郡司 亮平さん。私の2才年上の会社の先輩だ。
そして、私が片想いしている相手でもある。

いきなり心拍数が上がる。

ちょ、ちょ、これは・・・心の準備が・・・。

もうダッシュでベランダにでると、たけちゃんに電話をかけた。

『はいよ』

「なに、あれ?」

『あれって?』

「とぼけないで!なんで郡司さん?」

『ああ、な?。俺に感謝だろ?』

「なに言って・・・」

『長い片想いしてるから、気をきかせてやったんだよ』

「わざと?」

『いや、どこも泊まれなかったのも、華央んちが近いってのも本当のこと』

「・・・・李奈を好きだってことも?」

『・・・まあ・・・』

「・・・そっか」

『そこについてはごめん』

「別にそこに関しては、たけちゃんは悪くないから」

『・・・まあ、そうだけど・・・』

「ランチ3日奢って」

『了解』

「じゃあね」

『うん、よろしく頼む』

電話を切って部屋にいる郡司さんを見て、

「はあ」
ため息ひとつ。

そのまま部屋に戻りたくなくて、少し空を見上げた。