「ごめん、華央。恩にきる」

「え・・・」
一言もいいよなんて言ってないけど。

私の意見は無視。

「悪い、靴脱がせて」

「ああ、うん」

言われるがままに靴を脱がせてしまう私。

靴、脱がせてんじゃないよ!私!!
そしてたけちゃん!勝手に部屋に入るんじゃないよ!
幼馴染みとはいえ、一応女なんだぞ。

先輩を運んでいるたけちゃんの後ろ姿に心の中で突っ込みをいれる。

「先輩、ここで寝てください」

・・・私のお気に入りのソファーベッドに先輩を寝かせるたけちゃん。

ああー、私のソファーベッドー。

「じゃ、後はよろしく」

先輩を寝かせると、そそくさと帰ろうとする。

はああ?

「ちょ、ちょっとまって」

慌ててたけちゃんを玄関まで追いかける。

「どういうつもり?」

たけちゃんの服を引っ張りながら聞く。

「だって、俺これから李奈んとこ行くし」

「いやいや、あの人置いてくの?」

「置いてくよ」

簡単に言ってくれる。

「男のひとじゃん」

「・・・ああ、大丈夫」

「何が?」

「華央には手を出さない人だよ・・・言ってる意味わかるよな?」

・・・なーる。

「でも、ま、万が一ってこともあるかもしれないじゃん」

「ああ、そうなったらそうなったでいいんじゃん?華央彼氏いないだろ?」

「はあああ?」

もう本当なんなの?

「いないけど、それとこれとは別だよ」

必死に食い下がる私に、ニヤリと悪い笑みを浮かべてたけちゃんは言った。

「誰かわかったら俺に感謝すると思うぜ?」

はっはっは。

高笑いをしてから、そのまま軽く手を振ってでていってしまった。

ちょ・・・ほんと洒落にならないって。