郡司さんの心臓の音が聞こえる。

「なんか、言いたいこと沢山あるけど、今はただこうしてていい?」

上からふる郡司さんの声。

「・・・はい」

私も郡司さんの体に腕を回す。

こんなことが許されるんて。
本当に・・・ただただ、幸せだ。

郡司さんの手が私の顎にふれる。
軽く上を向かせると、

おでこにキス。
目蓋にキス。
鼻にキス。
頬にキス。

そして、唇にキスをした。

はじめは軽く。
徐々に深くなっていく。

深くなったキスについていくのがやっとで。
離されたときには息が上がっていた。

その後は涙は止まったけど、郡司さんの顔が見たくて顔を少しあげると、なぜかキスをされる。

甘々。

終電の時間まで、話もあまりしないまま、ただただ郡司さんのキスに翻弄され続けた。


玄関で見送り。
さっきとは全然違う。
郡司さんは私の頭をポンと撫でて、抱き締めて、キスをして。

「また明日な」

今まで見たことない笑顔を見せて帰っていった。

「はい、また明日」

私はぼーっとしたまま返事を返していた。

バタンとドアが閉まると、私はその場に座り込んだ。
腰が抜けたとはこんな感じか。

やばい。
やばすぎる。
彼氏・・ムフッ・・になった郡司さんの甘々の破壊力。
・・・全然違うんだもん。

しばらくその場から立てずにいたけど、なんとか立ち上がってふらふらした足取りで、ベッドまでたどり着く。

横になって携帯のアラームをセットする。

さっきまでの出来事を思い返し、一人悶える。
「また明日」・・・か。

何て素敵な響き。
告白前の「また明日」とは違う、胸の高鳴り。ああ、両想いってすごい。

そうだ、明日、たけちゃんと李奈に報告しなくちゃ。

李奈・・・郡司さんは李奈のことが好きだったんじゃないの?
その答えは聞けないまま。

色々あって今日は寝むれないかも・・・なんて思いは私の睡魔には効き目がないらしい。

いつの間にか眠りに落ちていた。

明日もいつもと変わらない朝が来るのだろう。
だけど、私の日々は変わってく。
きっと素敵な方向に変わっていく。
そうなるように努力しよう。

郡司さんと一緒に。


完。