「んっ…」
朝の日差しが眩しい。今何時なんだろ…。………あれ、目覚まし時計がない。仕方なしに起き上がる。
「え」
目に入ったのは知らない部屋。私の趣味のアニメのポスターや漫画などがない、可愛らしい部屋だった。昨日の記憶を思いおこすが、心当たりがない。
『コンコン』
ふいにドアからノック音が聞こえた。返事するよりも前に扉が開いた。
「お姉ちゃん、おはよ。……何してるの?」
素早く戦闘態勢をとった私に、男の子は眠そうな目を擦り、不思議そうに見ている。つい、戦闘態勢を取っていた私は、男の子の『お姉ちゃん』と言う言葉に違和感があった。
「え?私、お姉ちゃん…?」
多分きっと、アホな顔をしていただろう。状況が全然飲み込めてない。
「?ほんとに大丈夫?お母さんが早く朝ごはん食べちゃいなさいって。下で待ってるね!」
男の子が柔らかい笑顔を向けて、手を振った。
(あ、天使かな)
この状況でそんなことを思える私って普通にすごいと思う。私が『お姉ちゃん』なら、あの子はきっと『弟』。クフフ…
あんなに可愛い弟かあ〜。いいなあ、弟。
っとか、考えてる暇ないんだった!何この状況!?!?考えても、考えても、分からないことが多すぎる。
「ぐぅーーーーーーー」
おっと、過去最大にでかい腹の音だ。とりあえず腹ごしらえだ。それから考えよう。お腹をいっぱいにして状況整理したほうがきっと把握しやすいだろう。そうと決めた私は、下の階と向かった。