8時。寺島くんに会う。


通知がスマホに届く。




「今出たよー」



緊張してきた。


少し過去を思い出す。


中学校。楽しかった……気がする。


部活に友達に委員会。


うん……楽しかった気がする。


寺島くんは同じ委員会で彼は委員長だった。


好きなものが一緒で気があって、授業も隣で、馬鹿なことで笑い合って、楽しかったなあ。


戻れるなら……なんて考えてしまうのは。

とすっ


頭に冷えたペットボトルが当たる。


「うわあっ!!」


顔をあげると寺島くんが笑っている。



「久しぶり。暑い中待たせた? ごめんね」


「ううん。ありがと」


彼のくれた水を飲む。



「てかさ、なんで急に会おうって言ってきたん?」



「んーーーー?」


水を飲んでいて、答えづらい。



「しかも、どうしたんだよ。その荷物。どっか行くん?」


「ぷはー! そうなんだよ。今からちょっと遠出するから、最後に寺島くんに会いたいなっておもっ」


しまった。『最後に』なんて言うんじゃなかった。



「最後に?」


案の定だ。


「いや、間違えた。なんとなく久しぶりに会いたくなって……」



うう……寺島くんの目がマジになってるよ。



「……まさか…死ぬ……とか言わないよな?」



背中に汗が伝う。

ひんやりとしてて、一気に鳥肌が立つ。



「バッバカダナア」


声が裏返る。


「死ぬわけないじゃん。私今の生活楽しいし」


汗が一つ……二つ……