やり残したことが一つできた。


良かった……



あれっ？


私はどうして安心している。


死にたいのならさっさと死ねばいいのに。



やり残したことを頑張ってひねり出して、何をしている。


いいや、死にたい心にゆらぎはない。


私は……この夏死ぬと決めたのだから。



あっ！　


声が家中に響く。


やり残したことあった！


あったのだ。


それは……家出である。


家出と言っても、誰かに心配されることはない。


どうせあと数日は母親も帰っては来ないのだろうから。



通帳を開く。





残高3万二千円。

財布2万千円。

合計5万三千円。



意外と少ない。


まあ、もう使い切るのなら、と考えたら別にそうでもない。



死ぬ前に自由に旅をしよう。




そうだ。私は一人で……







自由なのだ。