勢いをつけて体を起こす。


風が吹いたカーテンの隙間から、セミの鳴き声が入り込む。


ミーンミンミーーーーンミン


部活を引退した高校生活最後の夏。



夏休みが始まって一週間が経つが、水以外口にしていないことに気づく。



何故か肌の調子は良い。



そろそろ食べないと死んでしまうかな。



冷蔵庫に近づく。手をかけた瞬間、吐き気を催す。


シンクに何も出てこない胃から空気だけを吐き出す。



もうこれは病気だ。私は、病気になってしまったんだ。


数ヶ月前、自分の体を見て吐いた。


肉が全身にまんべんなくついていて、いわゆる女の体。


あれから約半年。



ハハハッ


きっと、今の私は少年か女子高生かも見分けがつかないかもしれない。


そろそろかな。


人生100年時代。ばかげている。



そんなに生きたくない。




いい機会だ。







この夏に私は……










死ぬことを決めた。