やっぱり君だった

その事がきっかけで、
それから少しずつ話す事が増えていった。

お互いのことから
テレビのこと、
授業の話など
ほんとにたわいもない話だ。

だけど、なんとなく
加藤くんと話している時間はあっという間で
毎日が本当に楽しかった。

しかし、その時は突然来てしまった。
…次の席替えの日が。

うちのクラスは月に1回席替えをする。
私も、前までは月に1回の席替えが
楽しみで仕方なかった。
でも今は違う。

まだ、加藤くんの近くの席でいたい!
そう思っていた。

しかし、うちのクラスの席替えは
あみだくじだ。
あみだくじだというのは形だけで
大体席順はあみだくじで決まるが
そこから先生が調節したりする。

きっと次は加藤くんとは近くない。
なんとなくそう思っていた。

どんよりした気分のまま
あみだくじの紙の1番右側に
”ゆういち”の文字を見つけた。

その文字を見た時、
どうせ隣にも近くにも慣れないだろうからと
あみだくじだけは隣に…という思いを込めて
加藤くんの隣に、
”さき”と書いた。


ーー次の日。
朝教室に行くと、新しい席順の髪が
黒板に貼り出されていた。

私は昨日の夕飯が、
大好きなオムライスだった事や
好きなテレビ番組があったこと
お母さんの機嫌がすごく良かったこと
嬉しい事が重なりすぎて
席替えのことをすっかり忘れていた。。

どうしよう、見るのが怖い。
でも見なきゃ。そんな葛藤をしていると
もう既に自分の席に座っている
加藤くんの姿があった。
「あ、あそこなんだ。」
加藤くんの席は、
廊下側から2列目の1番後ろだ。
加藤くんの近くになるには
両隣・前の3席だけだった。
「なんでよりによって1番後ろなの」
私はそう思った。

半分諦めてるながらも、
先生が教室に来るまであと5分。
早く確認して席を移動しなければ。

恐る恐る黒板を見て一喜一憂する
クラスメイトをかき分け、
自分の名前を探した。
すごく怖かったから窓側から、、。

窓側から、1列目…2列目…3列目…。
ん???4列目にも居ない??
てことは、加藤くんと同じ列か
1番廊下側の列ってことになる。

加藤くんが1番後ろの席なので
前から順番に見ていく。

前から1番目…2番目…3番目。。。。
「あ!!!!!!!」
思わず大きな声で叫んでしまった。
私の名前は、
廊下側から2列目、前から4番目だ!
という事は、加藤くんの真ん前だ!!!

嬉しかった、すごく嬉しかった。
しかも、私の斜め前には美香もいる!!

どうせ隣にも近くにも慣れないだろうから
って加藤くんの隣に書いた名前。
まさか加藤くんの前の席になれるなんて。

嬉しさのあまり今まで沈んでいた気持ちが
一気に晴れていくのが分かった。

ウキウキしながら向かうのは、
私の新しい席。
そう、加藤くんの前の席。

歩いていくと見えるのは、
席に座っている加藤くん。
あまりの嬉しさに、加藤くんを
じっと見つめてしまっていた。
それに気づいたのか
加藤くんと目が合ってしまった。

私は気持ちを悟られない様に、
なるべくいつも通りの表情と
声で 「おはよう」と声をかけた。

そうすると、「おはよう」と返してくれた。
幸せだった、。
まさか近くになれるなんて
思ってなかったから凄く嬉しい!

あからさまにずっとニコニコしている私に
うちらからつんつんと背中をつつかれた。

あまりのいきなりの出来事に驚き
体がビクッ!と反応してしまった。
それを見た加藤くんはまた笑っていた。

「さっきまですごい顔してたと思ったら
今すっごい笑顔だね」って笑っていた。

「そう?」と言いつつも、
嬉しく嬉しくてニコニコしているのを
止められなかった。

「また近くだね!よろしくね」と話し
前を向いた時にちょうど
飯塚先生がいつも通り
「おはよー!」と入ってきた。

ドキドキする胸
ニコニコした顔を必死に
隠すように前を向いて座っていた。

ん??、まって
なんで私こんなにも加藤くんの事で
一喜一憂してるの…?
もしかして、私って…。



そう、私はまだこの時
既に長い長い片思いが始まっていることに
気づいていなかった。