出会ったのは、
小学校3年生、夏の終わり頃だった。

長い長い夏休みが明けた。
いや、私達子供には短すぎた。

今日から始まってしまう新学期に
猛烈に襲ってくる睡魔と戦いながら登校した

私が小学生の頃は教室にエアコンなんて
高価なもの無かった。
そのせいで教室はものすごく暑かった。

睡魔と暑さのせいで
学校が嫌いになりそうだった。

そんな事を考えていると、
教室のドアが勢い良く開いた。

そこから入ってきたのは
ほかの先生と比べるとかなり若く
いつも笑っていて誰よりも元気な
飯塚陽子(いいづか ようこ)先生だ。

私は飯塚先生が大好きだ。
新学期なのに元気だな〜と
ニコニコしながら先生を見ていると、
その後ろに着いて教室に入ってきた
見たことの無い男の子。
その子の存在に驚き
さっきまで騒がしかった教室が
ほんの一瞬だけシーンと静まり返った。
と思ったら、転校生だという事に
気づくとさらに教室が騒がしくなった。

騒がしい生徒たちを黙らせ、
先生が例の男の子を紹介した。
「今日から一緒に生活することにる
加藤雄一 (かとう ゆういち)君です!」
とニコニコしながら紹介した。

転校生と聞くと誰でもワクワクするが
私はそこまででもなかった。
だってその男の子は、
前髪が目が見えないくらいまで伸び、
服もあまり綺麗とは言えなかったからだ。

それに合わせて、
私は男の子と話すのが苦手だった。
あまり興味もない、
男の子と話すのが苦手
だから私はその男の子と親しくなるなんて
1ミリも思わなかった。