「だーめ、何かあってからじゃあ遅いんだよ?」

不貞腐れるような顔をする紫葵。

紫葵は俺の病状が悪化して、今年から入院している俺の元へ毎日のように来てくれている。

「むぅ、どうしても?」

「どうしても。そんな可愛い顔したってダメだからね」

あ、やってしまった。紫葵に、可愛いって、可愛いって言ってしまった。

「なっ、可愛いくないもん!お世辞は結構です!」

顔、赤くなってる笑。本当は嬉しいくせに、素直じゃないなあ…。

「お世辞じゃないよ。紫葵、もうちょっと俺に近づいて?」

「?これくらい?」

チュッ

本当に触れる程度だけど、俺から紫葵へキスをした。