「イチゴの日、って今日が?」
「そ。というわけで、じゃーん」
 彼女が得意げに机に並べたのは、様々な色のイチゴ大福。
「これがつぶ餡でね、こっちがこし餡。クリーム色のが白餡で緑が抹茶餡」
「……なんでこんなに買ってきたの」
「タイムセールで安かったの。いいじゃない、食べ比べしたかったんだから」
 甘党の彼女なら平気だろうが、こちらはそれほど甘いものが好きではない──だが、つい付き合ってしまうのが惚れた弱みというやつだ。
「餡子がついてる」
「えっ、どこ?」
「ここ」
 唇の端についていた餡の欠片を指で掬い、何の気なしに舐めた。
 途端に真っ赤になる彼女につられて、こちらの顔も熱くなる。
 こんな所が、いまだに初々しくて可愛い。