某通販サイトの箱で届いたのは、マイクだった。
「何このマイク」
「ゲーム機経由してカラオケができるんだって。長いこと行けてないだろ?」
二人とも、学生時代からカラオケが好きだった。
デートでどこへ行ってもだいたいの場合、締めはカラオケボックスになったものだ。
「なに歌う?」
「うーん」
お互い、最近の曲はあまり知らない。勢い、大学の頃に流行っていた曲に集中する。
二時間歌うと、ちょっと声が嗄れてきた。
「体力なくなったねえ」
「まあ、昔ほど若くはないけどさ」
苦笑いしつつ、見つめ合った。……自然と近づいてキスし、ソファの上で抱き合う。
「昔もよく、カラオケでこんなことしてたね」
「そんなとこまで一緒でなくていいよ……」