幼稚園のお弁当と言えば、ボール型のおにぎりが定番だった。
そして、いびつなタコさんウインナーに型崩れした卵焼き。
母はあまり料理が得意な人ではなかったそうだ。それでも毎日、私や弟のためにお弁当を一生懸命作ってくれた。

あれから、二十七年。
一月十七日がまたやってきた。

「おはよ~」
「おはよう。早く食べなさい、遅れるわよ」
「おねえちゃん、おそいー」
「妹に言われるようじゃダメだぞ」
「もー、年少さんのくせにっ」
あはは、と笑い声がダイニングに響く。
四人分の朝食と、夫と次女のためのお弁当。
毎朝忙しくはあるけれど、家族のために何かしてあげられるのは嬉しい。
……亡くなった母もきっと、こんな気持ちでいてくれたんだろう。