「愛してる。」




耳を失っている琢真は、自分でも、言えたかわからなかった。

しかし、最後に見えた真紀の口の動きが、



「あたしもだよ。」



と、言っているように見えたので、きっと伝わったのだろう。


エレベーターの扉が完全に閉まった瞬間、琢真は音のない世界で、静かに心臓を焼かれ、死んでいった。



意識が途絶える間際、頭に、真紀と過ごした思い出が浮かんだ。

口元を少し上げ、微笑むような顔で琢真は倒れた。

しかし無情にも、レーザーはその顔面さえも焼いてしまい、後に残ったのは、赤黒い血と焼け残った肉片だけだった。