「琢真ぁー!」



【ジュッー…】



残っていた方の耳を焼かれた。

さっきまで聞こえていた真紀の叫び声は、聞こえなくなった。


エレベーターの扉までたどり着いた琢真の体は、ボロボロだった。

両耳を失い、右腕と肩、そして左足は、肉がただれ、もう自由がきかなかった。


それでも琢真は、力を振り絞り、エレベーターの中に、残っている左腕を入れ、ボタンを押した。

真紀が何かを叫んでいるようだが、聞こえなかった。


エレベーターの扉が閉まっていく。


琢真は、左腕をエレベーターから出す時、真紀の頭を一度だけ、ポンと撫でた。

そして、さっき言えなかった最後の言葉を言った。