真紀は泣きながら、琢真を見つめた。 しかし、真紀の泣き顔でも、琢真の決心が鈍ることはなかった。 もう決めていたのだ。 次は自分の番だと。 真紀の為に、自分が犠牲になろうと… 「真紀…、頼むから、わかってくれ。」 「嫌だよ…。た、琢真と、一緒に…いる。」 泣きながらの途切れ途切れの言葉が、琢真の胸をしめつけた。 胸の痛みをごまかすように、琢真は真紀を『ギュッ』と抱きしめた。 そして、琢真が何か言おうとした時、 【ポーン…2階です】 死を知らせるアナウンスが、エレベーター内に流れた。