《頼む!止まるな!止まらないでくれ!》




―…




しかし、琢真の思いは天に届かなかったのか、エレベーターは2階を表示したまま、速度を落とし始めた。



「うそ……」



真紀が一言そう呟いたが、琢真は何も言わなかった。

心のどこかで、



《やっぱりな…》



と思っていた。

止まる階数の表示が、エレベーターに乗っている人数とリンクしていることに、薄々気付いていたのだ。

恐らく、敵が監視カメラを通してこちらの人数を把握し、エレベーターを操作しているのだろう。



「琢真…怖いよ…」


「大丈夫…。大丈夫だ。俺に任せろ。」



この言葉に、何か引っ掛かることがあった真紀は、不安げに琢真の目を見た。



「……?琢真…、2人で一緒に助かるんだよね?そうだよね?」


「………。」



琢真は何も答えることができず、真紀から目を逸らし、俯いた。