真紀と琢真は、温かくなった空気のせいか、どちらからともなく手を繋ぎ、一緒にエレベーターの階数表示を見ていた。

手を繋いだからといって、この現状が変わるわけではないと理解していたが、そうすることで、安心感を得られた。



《頼む…!止まるな!》



琢真は心の中でそう呟き、真紀の手を『ギュッ』と、更に強く握った。


確実にエレベーターは動いているはずなのに、なかなか2階の表示から動かない。


時間が長く感じる。


強く握った手に、汗が滲む。


特に琢真は、さっき心に決めたことを、実行しなければならないかもしれないと思うと、緊張と不安で喉がカラカラになり、息が上手く出来なくなった。