『グヂョベヂュヂョグ』
今まで生きてきた中で、１度も聞いたことのない、おぞましい音を聞いた琢真は、見たら後悔することを理解しながら、後ろを振り向いた。
『グヂュボキベキギュ』
「…っ…う…」
やはり後悔した琢真は、急いでエレベーターに向き直り、真紀の手を握ったまま、中へ入った。
琢真は男だったモノの方に、拝むように手をあわせて、頭を下げた。
「すまない…。本当にすまない…！」
そう言い、１Ｆのボタンを押した。
扉が閉まっていき、男が見えなくなると、エレベーターは機械的な音を出しながら、動きだした。
