しかし、『魔物』という表現も、語弊があるかもしれない。
『人』というには、化け物に近すぎたし、『化け物』というには、人に近かった。
言うならば、人と魔物のハーフといった所だろうか…
その、ウィルスに侵された人間達は、琢真との距離を徐々に縮めていった。
近づくにつれ、それらの顔や形がハッキリと見えてきた。
その醜い人間達を見て、真紀は背筋に冷たいものが伝った。
目は赤く血走っていて、眼球をこれでもかという程、『カッ』と剥き出していた。
ダランと開けた口からは、ジュルジュルとよだれが垂れており、理性の無さがうかがえる。


