どうしよう…、と悩んでいた時、ふと、美咲達が目に入った。
次の瞬間、真紀の心臓は凍りついた。
美咲達が、エレベーターの前に立って、ボタンを押し、下へ行こうとしていたからだ。
「ま、待って!」
恐怖と焦りで、うまく声が出せない。
喉がひっついてしまったような、カスカスの声が虚しく真紀の耳にだけ、響き渡る。
真紀は震える足をどうにか動かし、美咲達のもとへと急いだ。
そして、やっとの思いで近くに行くことができ、美咲の腕を掴むことに成功した。
それと同時に、声がうまく出せるようになった。
「美咲!駄目だよ!下に行っちゃ駄目!」
美咲と輝は、普段は落ち着いている真紀が、こんなにも焦っている姿を見て、目を丸くしていた。


