ついたぁー!
軽い足取りで車を降りる
おばあちゃんの家、これから住む家!
えへへ〜。準備したときは何も思わなかったけど、引っ越してくるとワクワクする…!
家の引き戸をぐっと引っ張って玄関に入る
「梓ちゃーん!あやだよー!」
「はいはーい」
部屋の奥からひとりの女性が出てくる
肩まである髪がぴょっと外はねしたこの人はいとこの葉月梓ちゃん
おばあちゃんの家に住んでる私の先輩で、
新学期から通う東宝坂高校の生徒会長なんだ
「梓ちゃん、こんにちは」
「叔母さん!こんにちは〜」
「あや!荷物置いておくわね。梓ちゃん頼むわね!」
「あやちゃんの事頼まれました!」
いや、目の前でやられると恥ずかしいんだけど
お母さんは言いたいことを言いたいだけ言ってからすぐに帰ってしまった
梓ちゃんは、「12時にお昼」という旨を伝えて自室に戻っていった
私も自分の部屋に荷物置いてこよ
えっと、階段登って左の突き当たりの部屋は…
ここ!
荷物運んだときから何だかんだ2ヶ月空いちゃったし、埃かぶってるな…
今この家に住んでるのは梓ちゃんだけ
10年前におじいちゃんが亡くなってから、おばあちゃんが認知症になっちゃって、
施設に入ったのが6年前
2月まではシングルマザーで、梓ちゃんのお母さん(私から見たら叔母さん)が住んでたんだけど、仕事で出世して海外で営業をしてるんだよね…
それからはおばあちゃんを心配して残った梓ちゃんが1人で暮らしてる
流石に家の隅々まで掃除できないらしく、梓ちゃんから
「あやちゃんの部屋掃除しきってないから汚いかも」
と聞いてたけどそれなりに綺麗になってて、少ない時間で片付けてくれてたことに感謝
「梓ちゃーん!掃除機どこ〜?」
「階段横の〜物置にあるよ〜!」
「はーい!」
階段横の、物置に…、これか!
おお、コードレスだ…。えっと、確かこうして…?
と、取れた…。コードレスすごい…!
ってこれ私が時代遅れなだけでは?