「おい! 誰か来るぞ!」

 屋上へ続く入口付近に立っていた陸くんが小さくそう叫んだ。

 私たちは急いで、ドアの後ろに回り込んだ。

 そもそも屋上に入ることを許されていないこの場所には、隠れるところなんて何もない。唯一ドアの後ろだけが死角になる。

 そこに私たち5人は隠れた。

 コツン、コツンと階段を上がる靴音が小さく聞こえていた。走る緊張。息を殺し私はうずくまった。

 いつかは、この屋上に居ることがバレるかもしれない……そう思っていた。

 吉岡先生のことや水沢奈乃香のことがあったばかりだ。SSFだっていつまでも隠していられるわけはない。誰かにバレるかもしれないって思っていた。

 でも、それが今だなんて思いたくない。

 このままSSFが終わってしまうことも、本当は嫌なんだ。