「珍しい組み合わせですね」

 開口一番に友梨ちゃんが言った。来る途中で偶然会ったことを伝えると、彼女も匠真と途中から一緒に来たとその偶然を喜んでいた。
 前回は水族館を予定していたけれど、今回はどういう訳か遊園地だった。全ての計画を後輩カップルに任せていた私が改めてどうして遊園地なのかを尋ねると、水族館はあの後二人で訪れたからというものだった。それでいうと私たちも遊園地には来たけれど、そんなことはどうでもよかった。

 エントランスを通ると、宮部君が唐突にある提案をした。

「とりあえずさ、夕方まで別々で遊ばない?」

「は?なんでだよ、せっかく四人で来たのに」

「えーだってさぁ……ねぇ、浅倉さんって絶叫系いける?」

「うん、大丈夫」

 私が答えると宮部君は私にだけ分かるように控えめに親指を立てた。

「匠真も絶叫系好きだろ?友梨無理なんだよ」

 宮部君は「残念だなぁ」と言って友梨ちゃんの腕を掴むと、「よし、じゃあ行こう」と言って呆然とする彼女を連れてそのまま去っていった。宮部君の強引とも言えるその行動に私の頬が緩む。二人の後ろ姿を見ながら匠真は「なんだよ」と呟きながら、パンフレットを開いている。そんな匠真の手を私がそっと握ると、少し照れた様子でこちらを見てきた。

「私たちも行こう」

「——うん」

 それだけの会話がドキドキした。緊張して、握る手には汗が滲んだ。走ってもいないのに息が苦しくなった。君も同じ気持ちでいることを願ったし、このまま時間が止まればいいと思った。そうすれば、この恋は永遠になるだろうか。

 ジェットコースターに乗ると、頂上までの時間をひたすら「来る来る来る」と言って足をジタバタとさせる姿、お化け屋敷で「俺が先に行くね」と先陣をきるものの最後にはしっかり並列になっている姿、二段アイスは溶けないように下から食べる姿、その全てに私は心の中でシャッターを切った。私の記憶に刻まれるように何度も何度もシャッターを切った。どんなに切ってもフィルムが無くなることはない。きっと一生かかっても無くならない。またいつか、このシャッターを切れる日まで、その日まで大事に取っておこう。