卒業式の日、私はきちんと告白の返事をした。だけどその時の気分は暗かった。私の心の明暗は完全に『暗』だった。今でもその感覚だけはよく覚えている。友達と記念写真を撮っている時も、先生にサプライズで歌のプレゼントをしている時だって、私の心は真っ暗で何も見えなかった。
 私の暗い心とは裏腹に、新しいカップルが生まれたりだとか、制服のボタンが全滅する人がいたりだとか、そういうこともなく中学校生活最後の日は、とくに大きな出来事もなく終わった。それだけを思えば、忘れられない卒業式というにはほど遠いもので、実際に思い出深い特別な日にはならなかった。



 ただ一つ、匠真が卒業式に来ていなかったことを除いては。