「どうしよう、お母さん

真由香がめっちゃ泣いてた……別れるかな」

「亮介が何かやらかしたの?」

「マンションに帰ってきてないって泣いてて、そしたらお兄ちゃんが帰ってきて電話を代わったんだけど…」

「ちゃんと来る時間聞いてくれた?」

「うん、5時でお寿司食べたいって」

「お父さーーん、お寿司買ってきて」

「わかったよ」

「亮介のことだから自分が悪いと思えば必死で謝るでしょう」

「謝って許されるレベルかな

真由香って泣くような子じゃないと思うからよっぽど……」

「まだ知り合って2ヶ月ほどでしょ?

真由香さんの事なんて穂乃香も亮介も知らないじゃない

すぐ泣く子かもしれないし……」

「確かに……まだ日は浅いけど、だから泣かせちゃいけないんじゃないの?」

「素を出せた方がいいわよ

それを知った上で付き合うか、別れるか決めればいいのよ」

「お兄ちゃんは結構素の天然ぶりは発揮してるみたいだけどね」

「それなら亮介にとってはいいかもね

歴代のすぐ別れるって言った女は顔しかみてなかったのよ」

「そっか……」

「サポーターのお礼も亮介に渡せばいいものを返しにくる律儀な子なら亮介の話もちゃんと聞いてるわよ」

「何なの?お母さんのお兄ちゃんの彼女分析は」

「早く会いたいなぁ

お父さん、まだいたの?早く行ってきてよ」

「じゃあ、行ってくる」




夕方5時になり田口家のインターホンが鳴る

家に帰るのにインターホンを鳴らさなくてもいいのにと穂乃香が玄関を開けた

「真由香〜」

真由香に抱きつきながら後ろに立っていた亮介を睨む

「いーだ」

穂乃香は亮介に酷い顔を見せて真由香を案内する