「でも、亮介さんはやっぱりサッカーが好きだし、仲間も大切なのよ

それは理解してあげなきゃって思う」

「……私はもっと素直にお兄ちゃんにビシッと言ってもいいと思うよ

我慢はよくない、いつか爆発するよ

それにお兄ちゃんなら怒らないから大丈夫だよ?」

「でもさ、亮介さんだって全部女の方から別れたわけじゃないじゃん?

自分からでも別れを切り出してるでしょ?」

「まあ、やっぱりお兄ちゃんの我慢にも限界はあるよ

私でも何人かはお兄ちゃんから別れた人の名前とか顔を知ってる人もいるのは確か

怒りはしないけど嫌になると関係を断ちたがるから別れちゃう」

「女が別れたくなくても?」

「うん、無理って思ったらすぐ別れてしつこくきたらブロックよ」

「冷たいの?」

「しつこくきたらよ(笑)でも別れるのは早いかな」

「じゃあ、わがままなんだ」

振られるとは言うけど振ってる方が多いのかもしれないな

「そうとも言う」

「穂乃香ん家って何をしてるの?

亮介さんは小学校の先生になりたいとか言いながら家も継ぎたいとか……」

「塾を経営してるのよ

お父さんの後は自分がって……いずれね、歳をとってからだと思うわよ」

「じゃあ、何で自分の塾でバイトしないで家庭教師してるの?」

「友達に頼まれたからだって」

「人がいい(笑)」

「あっ、そうだ真由香うちでバイトする?

夏休みとかは人を募集してるよ」

「ほんと?やってみようかな」

「じゃあ、夏期講習のバイト話しておくね」

「履歴書書いておく……

そうだ、私、穂乃香のお母さんにサポーターを返しに行きたいんだけど亮介さんが忙しいから私1人でも行こうかなって考えてたとこなのよ」