亮介さんの手が頭にふわっと置かれた

「真由、何考えてんの?百面相みたいになってるよ(笑)」

「え?」

真由香は自分の顔を覆った

「見ないで……」

「もう遅いよ(笑)緊張してんの?」

うんうんと頷いた

「友達だから大丈夫だよ

僕なんて来年は教育実習が始まるんだよ

サッカーより緊張するよ」

「あっ、そうだね、大変だ」

「他人事じゃないでしょ(笑)真由だって教師になりたいんだから、取れなかったら田舎に帰ってこいって言われるよ」

「が、頑張る……亮介さんと離れるのは嫌です」

可愛いなぁ

頭に置かれた手はポンポンと優しく撫でてくれ、肩に手を回してくれる

電車から降りて5分ほどで競技場に到着する

この会場のときは電車がいいんだよなんて亮介さんは説明してくれる

最初に見に行った市民グラウンドだ

確かに駅に近いから真由香も行こうと思ったんだった

「僕達とさぁ同じ時間に来てくれるファンの子や、大学の応援団やチアの人にはいつもありがとうって思うよ」

今日はリーグとは別の公式試合だから大学の応援団が来るとのことだった

朝の試合の声援が競技場からもれてくる

他の大学も一緒なんだな

競技場に着くと肩に回された手は離され亮介さんは一礼をしていた

そのまま亮介さんの1歩後ろを歩いていくと亮介さんに声がかかる

「亮介くん、おはよう、頑張って」

「頑張って」

春に見たようにうちわを持っている人も早くも来てる

やっぱりコソコソ耳打ちしている人もいるのは目に入る

亮介さんはおはようと爽やかに返す

今日も応援よろしくね
まるでアイドルみたいに……