3年間同じクラスのダサ男の杉山くんと会話することがあるとは思っていなかった。

 杉山くんは、いつも一人でいた。時々、学校に来ないし、来ても、黙って、席に座り、本を読んでいたり、寝ていたりしていた。髪はボサボサだし、いつも下を向いていた。
 話かけても、ボソボソはしゃべる感じだった。
 クラスでは、居ても居なくても一緒だった。
 体育祭や文化祭も参加しない。
 修学旅行ですら来なかった。

 しかし、今、目の前にいるのは、『RYO』。
 確かに杉山くんの名前も『亮』だった。
「あの、聞いてもいい?」
「何?」
「モデルの『RYO』だよね?」
「うん。」
「何で?」
「学校にバレるとめんどくさいじゃん。」
「あ。それで。」
「言わないでくれる?」
「あ、うん。言わない。」