昼休みが終わってすぐ、優空ちゃんが私に話しかけてきた。
「次、理科でしょう。一緒に行かない?」
「うん、実験だしね」
実験は、優空ちゃんと同じ班なのだ。

理科は理科でも、実験は好き。
座学だと、落書きのオンパレードだよ。瀬凪に毎回からかわれちゃうけど。

「優空ちゃんのお陰で、結構上手くなれたけどね〜」

「何が? …あ、絵ね。みゆうちゃんは元がいいのよ」

優空ちゃんは胸にノートを抱えて持ちながら、私のことを指さした。

「そんなことないよ、相変わらず! 未だに瀬凪にからかわれるもん」

「……瀬凪くんに?」
優空ちゃんは、眉をひそめて私を見た。
何が気になったんだろ? 私はまだ、優空ちゃんの考えてることが読み取れない。佳那と違って……佳那は比較的わかりやすいからなぁ。

「ううん、何でもない…わ。行きましょ! 遅れるわよ!」

「えっ? あっ、うんっ」
慌てて理科の準備をして、先を行く優空ちゃんのしっとりとなびく髪を小走りで追いかけた。