「ごめんなさい!私の幼なじみがあんなことを言ってしまって……。普段はあんなこと言わないはずなんですけど、本当にすみません!」

例え、認めることができなくても、受け入れなくてはならないこともある。ベラがその一例だ。心の中に閉じ込めるべき毒を今は吐く時ではない。ヴィンセントは一番それを理解しているとイヅナは思っていたため、ショックを受けている。その毒を吐かれた人間は、さらにショックだろう。

「気にしないで。彼が信頼しないのは、彼の言う通りなんだから」

ベラはイヅナの隣に腰掛け、ツヤと稽古をする二人を見つめる。ヴィンセントが放った弓をツヤは軽々と避け、レオナードが戦鎌を振り回してもその刃はツヤを擦りさえしない。

「私、妖に無理やり姿を変えられたとは言え、多くの人の命を奪ってしまった。ツヤさんの血を飲まなければ、きっともっと多くの人を傷付けていたかもしれない。……妖は恐ろしい存在。だから受け入れてもらえないのは当然よ」