その日は、いつもより空が青かった。

「翆〜、部活始まるよ」

グランドの隅で、体育座りしていたわたしに
遠くから平岡愛莉が声をかけた。

愛莉の声に反応して、わたしはさっと立ち上がった。

座って見たら遠くに感じる空も
立って見たら近くに感じた。

わたしは、空に手を伸ばした。

届きそうで届かない。

そう、まるでわたしの恋みたいだ。