「あの……申し訳ありません、お客様…。他のお客様のご迷惑になりますので…」

おい!さっさとどけろイケメン!

何をこんな混み合っている時間帯に変な恰好をして薔薇の花束なんて持ってきて告白してんだ!

周りの好奇の視線が気にならねぇのかよ。 さっさと失せろ!  心の中で毒づきながら、ひくりと引きつった作り笑いを浮かべる。

男は顔を上げると目をぱちくりと数回瞬かせて不思議そうな表情を浮かべる。
そして困った様に小首を傾げた。 戸惑っているようにさえ見える。

いやいやいやいや、困っているのも戸惑っているのも私の方ですから!  そうツッコミたい気持ちは山々だったけれど、ヤバい奴だったら困る。

突然刃物を取り出されても困るし、物騒な世の中だからこういうタイプは突然何をし出すか分からない。

「お願いしまーす!」

その場で手を上げて、サービスカウンターにいる社員に助けを求める。

何か困り事があれば大抵サービスカウンターにいる社員を呼んで、それでも解決しなければ事務所から店長か副店長が来てくれるシステムになっている。