第一章 あなたとのお付き合いは丁重にお断りさせて頂きます 凛歌SIDE
その男はとある平和な昼下がり、突如私の前に現れた。
真っ白のスーツを着て、赤いネクタイをしめる。
その場で膝間づいて
そしてその赤いネクタイとお揃いの真っ赤な薔薇の花束を、私の方へと差し出すのだ。
私自身も周囲もドン引きである。
目の前の男だけが目をきっらきらに輝かせてこちらを見上げる。
「坂村 凛歌さん」
「は?はいっ?!」
「結婚を前提にお付き合いをしてください!」
「はひ?はぁーーーー?!」
見た目はイケメン。好みの問題もあるかもしれないけれど、一般的にいえば文句の付け所がない端正なルックスをしている。
クールそうで涼し気な眼差しが特徴的のイケメンだ。
そのイケメンが、真面目な顔をして私の前で膝間づいている。
差し出された薔薇の花束からは、ぷぅんと独特の香りが広がっていく。