さすが平石財閥の御曹司。
芽衣ちゃんたちの住むマンションは超超高級マンションで、住まいはその最上階。
フロントにはコンシェルジュがいて、セキュリティ―だってばっちりの別世界。

「こんなところに住む人が本当にいるのね」
エレベーターの中で思わず口を出た。

「あいつもそこそこ顔が知れているから、このくらいのセキュリティーが必要なんだよ」
「ふーん」
お金持ちも大変なのね。



「芽衣ちゃんこんにちわ」
「いらっしゃい、藍さん」

玄関まで出迎えてくれた芽衣ちゃんは何も以前と変わらない。
黙っていればお母さんには見えないだろうと思う。

「こんにちわ」
「あれ?雄平さん?」

やはり、芽衣ちゃんがびっくりしている。

「あの・・・たまたま一緒になって、それで・・・送ってもらったの」
「ふーん」

小首をかしげながら、私と雄平を交互に見る芽衣ちゃん。

「何してるの、上がってもらえよ」
なかなか入ってこない私たちにしびれを切らし、奏多さんが出てきてしまった。