「羽美ー帰ろー。あっ。」

「あぁごめん。」

顔を見なくてもわかる。この声は、この姿は渡海だ。

「いやこちらこそ前見てなかったから…ごめんなさい。」

別にもう好きじゃないし。
渡海のことなんとも思ってないし。
そう思ってるのにやっぱり渡海に接すると心臓が早くなる。


渡海は何事もなかったかのように私に接してくれる。
なのに私はいつも最低な態度しかとれない。

さっきもそう。
顔を見て謝らずに、逃げるように去ってしまった。
渡海は何も悪くないのに。悪いのは私なのに。




そんな自分が大嫌いだ。