「んじゃまぁ、
そろそろ行く?」

緊張感のない顔で、ジンが笑った。

こんな時に笑う奴、俺が知ってる男の中で、コイツぐらいだろうな

ジンのバイクに2ケツして、大きなビルの隙間から、建物の中を伺っている。

静かな裏通りの暗闇で、俺たちは目の前に、敵を見据えて、狙いを定める。




「てめっ、今から遠足行くんじゃねぇんだかんなっ」

「どうせなら、楽しく行かね?」


小さな声でコソコソ話しながら、そう言うジンの手も、よく見れば少し震えていて、

良く見なくても俺だって、手も足も震えていた。


「なぁ、ジン、
一緒に帰んだからなっ」

「カズこそ、
やられんじゃ、ねぇぞ」



やせ我慢でも何でもいい、顔だけは笑ってるジンが横に居るだけで、心強く感じた。


「ジン・・・、
約束だかんな」


「あぁ、わーったよ」