幼い頃には神童と評判でかなり優秀だと聞いていたけれど、それも入学した前期まで、後期からどんどん成績が落ちていって今では最下位クラス。性格が悪いうえに成績まで悪いなんて目も当てられない。容姿だけがいいなんてマイナスにしかならないわ。

 その反対に、スティールは茶色の髪に青い瞳で目立った容姿ではなかったけれど、おとなしくてしっかりしていて勉強もこつこつと頑張るような努力家で、隣国の最難関の学院に合格した優秀な子供だった。
 スティールの方が好感度が高かったのよ。愛する娘を嫁がせるのですもの。嫡男云々より性格が大事でしょう。

「エドガーさんのお相手の男爵令嬢はどうするの?」

「リリアさんね。結婚させるつもりよ。どうしても一緒になりたいと土下座までするのですもの。卒業したら本人に廃嫡を告げて、辺境の領地へ押し込めるわ。そしてスティールを後継者として発表するつもりよ」

「そうなのね。そこまで決断しているのね」

 スティールのことを認めさせようと必死ね。
 それもこれもフローラのブランド力が高いのを知ってるからよね。ローナの栽培成功で有名なフローラの名前で展開する商品、企画がいくつもあるから、それを全部撤退すればどれだけの損失、収入減が出るかわからないものね。