「ねえ、フローラ、今夜、私の部屋に泊まらない?」

「泊まる?」

「そう、王宮にわたしの部屋があるのは知っているでしょう。もともと泊まる予定だったから、ちょうどいいわ」

 ディアナの突然の提案に面食らった顔をしてしまいました。
 ちょうどいいって、ディアナは何を急に言っているのでしょう。

 場所は王宮ですし、王族とほぼ同等な立場のディアナといえども、そんなわがままは通らないのでは、準備だってあるでしょうし。
 よしんば泊まることが叶ったとしても、それは何週間か何カ月か前から申請しておかなければならない事案では?
 さすがに許しはでないでしょう。

「あら、いいわね。フローラちゃん、遠慮せずに泊まりなさい。ゆっくりしていくといいわ」

 王妃陛下が名案とばかりにあっさりと許可を下さいました。あっさりしすぎて拍子抜けしました。
 本当は有難くお受けしなければいけないことなのかもしれないけど。

「でもディアナ。両親が待っているし、何も言っていないし」

 王妃陛下に直談判なんて到底無理ですから、ここはディアナが頼みの綱です。