助かった。声が聞こえた瞬間に危機から逃れたとほっとしました。

「お取込み中のところ申し訳ありませんが、ディアナ様がいらっしゃいました」

「セバスか」

 レイ様はゆっくりと顔を上げて声の主に視線を奔らせ、それはそれは大仰なため息をついたあと、邪魔されたのが嫌だったのか不機嫌そうな声で答えました。

「ディアナか、通せ」

 ディアナが来たのね。早く会いたいわ。ガーデンパーティーからいなくなってしまったから、心配をかけてしまったわ。そういえば、パーティーの後に用事があるから帰らないでねと言われていたのを思い出しました。

「はい。承知いたしました。それからもう二方おいでになっております」

「二人? ディアナ以外、予定した者はいなかったはずだが」

 レイ様、ご機嫌斜めのような、声が凍えそうに冷たいです。

「王妃陛下と王太子妃殿下がいらっしゃっております」