すいとエルザから視線を外したあと、今度はリッキー様に矛先が向けられました。気持ちよさそうに寝ていますが、それも仕方のないことです。だって子供ですもの、お昼寝も必要です。

「あの……レイ様。怒っていらっしゃいますか?」

 レイ様はなにやら渋い顔でリッキー様を眺めています。気に入らないことでもあるのでしょうか。

「いや、怒ってはいない。うらやましいと思っただけだ」

「うらやましい?」

 何のことでしょう? 言われている意味が分からなくて私は首を傾げます。

「別に……何でもない」

 顔をそむけたレイ様の耳が真っ赤ですけど、熱があるとか大丈夫でしょうか?

「レイ様、耳が赤いですが熱があるのでは?」

 ぎょっとしたように耳に手を当てたレイ様は慌てて

「これは何でもない。熱はない」

 と否定なさいましたが、本当に大丈夫でしょうか?

「レイ様、お隣に座っていただけますか?」

 三人掛けの中央に座っているので、リッキー様の反対側は空いています。

「ああ」

 大人しく座って下さったレイ様の頬がほんのり赤く見えます。熱はないと聞きましたが、自覚がないだけでは。私は心配になってレイ様の額に手を当てて、自分の額にも手を当てました。